紅葉の色の濃い山は、ステンドグラスでも見るやうです。
さうして私は大きい自然の天堂にゐるやうです。
・・・・(中略)・・・
あぁ、来てよかった。
私は聲に出して言ひました。


これは川端康成が、昭和27年10月に九重に旅をし、昭和28年に小説『千羽鶴』の続編として発表した『波千鳥』の中で、ヒロインが恋人にあてた、長い手紙の中に書いたひとこまである。

九重山は最高峰の中岳(1791m)、主峰久住山(1787m)をはじめ、大船山、三俣山、星生山など1700mを越える山々が秀を競う一大火山群の総称である。
山容はトロイデ火山特有の優しいスロープを描き、南に久住高原、北に飯田高原を形成し、のびやか地形は日本有数の高原美をつくりだしている。
その景観は春の草原、夏のミヤマキリシマ、秋の紅葉、冬の霧氷・雪景色と春夏秋冬私たちを魅了して離さない。

「春は黒、夏は青、秋は赤、冬は白」
法華院に伝わる「九重山記」は、九重山の移ろいを、こう表現している。言い得て妙である。


【山の写真集/花の写真集