今回の山行き
九重

【今回のコース】
長者原-タデ原湿原-雨が池-坊がつる-雨が池-長者原

2017年3月11日(土) 晴 長者原 7時45分 気温3度〜10度
法華院に伝わる古文書「九重山記」では、九重山の移ろいを色で表現している。
「春は黒」・・・九重の春は野焼きで始まることを教えた味のある表現である。(写真)

九重は古くから牧畜が盛んで良質な牧草を得るため野焼きが行われていた。
かつての坊がつるも佐渡窪も、放牧が行われていた記憶がある。
その後、畜産の姿の変化などもあり野焼きは下火になるものの、近年見直された。

坊がつるの野焼きが、今の形で始められたのは2001年からで、今年で17年目、ラムサール条約に登録されて12年目になる。
今の形とは、豊かな自然の美しさを守る一環としての貴重な植生の保護が目的である。
このまま何もすることなく坊がつるを放置すれば、近い将来湿地が無くなり、植生が変化すると言われている。
どうしても後世までに今の坊がつるを残して置きたい。
坊がつるの野焼きには、こんな気持ちと愛情が込められている。
(野焼きで「春は黒」に一変した坊がつる 11時24分撮影)
【800*600】

しかし野焼きを続けるのはそんなに簡単なことではない。
野焼きでの死亡事故や山火事、野焼きする人の高齢化による人手不足や後継者不足も深刻である。
そのためか、かつての勇壮な野焼きは影を潜め、現在は「安全第一」を合言葉に慎重に行われている。
昔を知る人には少しもの足りなくも思えるがこれも時代の流れであろうか。

野焼きの講釈はそれぐらいにして、今回はいつもの吉部コースでなく、久々、雨が池を越えることにした。
長者原取付き7時45分。天気は晴。気温3℃。
雨が池コースは、2005年の梅雨末期の豪雨による土石流で、地形が大きく変化し、登山道はズタズタにされた。(写真)
あれから12年近く、今もその爪痕は残るものの傷は完全に癒えている。
当時を知らなければ、とくに変化に気付かないと思われる。
自然の治癒力のすごさに感心する。
(土石流の爪痕が生々しい当時の雨が池コース 2005年7月23日撮影)
【800*600】

雪が残る登山道を1時間半程楽しみながら坊がつるへ。
野焼きが始まるのはいつも10時頃なので、それまでは遅いファーストタイム。
10時過ぎ、一番火、二番火、三番火と次々に火が入る。
彼方此方で火の精霊達のラインダンスが始まった。(写真・下1〜2)

野焼きは例え風が弱くても、輪地切はしていても、先ず風下の先端を焼き、延焼止めを確実にして風上に火を入れるのが常套手段である。
風上に火を入れると、油脂成分を多く含んだススキ野は瞬く間に燃えあがる。
火柱が竜のように立ち上がり、風に煽られて千切れた炎を巻き込み、渦を巻きながら疾走して咆哮する。
舞い上がった熱気で大船山が、九重連山が陽炎のように揺れる。
風下は強烈な熱風で、少しぐらい離れていても、悪魔の吐息で肌がヒリツキ、髪の毛や眉毛が野焼きになり、チリチリッと悲鳴を上げる。
熱に弱い服は、孔が開くことを覚悟しなければ後で泣くことになる。
こんなことは経験から来る野焼きギャラリーの知恵である。
(彼方此方で始まった火の精霊達の小規模なラインダンス 10時38分撮影)
【800*600】

しかし、今回は秋吉台の死亡事故もあってか、風上には中々火を入れない。
風を見極め慎重に火を入れて行く。
それで不謹慎なことを言えば、火柱も立たない、炎も走らない、シャーバリバリ音も弱い・・・いっちょん面白くなか。
安全が第一なので、しょんないけど・・・。

なんて不謹慎の2乗で思っていたら、最終章になって大きく膨らんだ炎が立ち始めた。(写真・下3〜6)
周囲のギャラリーの安全が確保されたのでスタッフのサービスかも知れない。
ビリビリと背筋に電気が走り体に鞭が入る。
実はこの興奮この痺れの感覚こそが野焼きの醍醐味なんです。
(丸く大きく膨らんだ火の精霊サラマンダーのたまご 11時20分撮影)
【800*600】

野焼きを終え、冬枯れ一色の坊がつるが、漆黒の春を迎えた。(写真)
これから一雨ごとに萌黄の新芽で充たされ「夏は青」に変化して行く。
この繰り返しで、将来も今の坊がつるを残すことができる。
野焼きスタッフの皆さんに感謝したい。

野焼きは、雨や雪でも、風でも、乾燥してもできない。
決行する迄は結構大変なのだ。
一度や二度流れるのは当り前で4月にずれ込んだことも何度かある。
あまり遅れると沢山の新芽が犠牲になるので、なるべく避けなければならない。
それが今年は一度も流れることなく実施された。
こんなことは初めてである。

だからなのか、山仲間がこんなに多く参加したのも初めてである。
順不同で紹介すると、
大島さんRyonaさんsanpoさんBOCCIさんsumiさん原園さん永松さん大分のなおさん福岡のKUU(クー)さんオアシスさんHEROさん
福岡のKUU(クー)さんとお会いするのは初めてだが、明日からアルプスに行かれるとのこと。
この時期のアルプスは危ない。気をつけてくださいね。

今回は野焼き後、フクジュソウ(福寿草)の確認を予定していたが、時間が押して断念。
代わりに2月中旬に仰烏帽子山で撮影したフクジュソウを末尾に置いておく。(写真下7)
(野焼き全景&野焼きを終えて 10時50分&11時21分撮影)
【800*398】【800*541】



【火の精霊達のラインダンス序章】
一番火、二番火が入る。まだ序章だが火の精霊達のラインダンスが始まった。
2017年3月11日10時33分撮影
【1024*768】【800*600】


【火の精霊達のラインダンス本番】
火の精霊達のラインダンスも次第に大きく広がりを見せる。さあ此処からが本番。
2017年3月11日10時39分撮影
【1024*768】【800*600】


【誕生火の精霊サラマンダー】
小さな火の精霊達が集まり大きく膨らむ。まるでサラマンダーの誕生を思わせる。
2017年3月11日10時39分撮影
【1024*768】【800*600】


【野焼き最終章序曲】
今回の前半は比較的大人しかった。しかし此処から一変。最終章は楽しませてくれた。
2017年3月11日11時12分撮影
【1024*768】【800*600】


【2017坊がつるの野焼き】
冬枯れのススキ野が漆黒のつるに一変する。野焼きを終え坊がつるに春が来た。
2017年3月11日11時18分撮影
【1024*671】【800*524】


【悪魔の吐息】
最終章クライマックスは背筋に電気が走り体に鞭が入る。悪魔の吐息に酔いしれた。
2017年3月11日11時21分撮影
【1024*486】【800*379】


【仰烏帽子山のフクジュソウ】
仰烏帽子山のフクジュソウは早い。これが本当のユキワリ(雪割)フクジュソウか。
2017年2月15日撮影
【1024*768】【800*600】

 前回(3月3日)の山行き

デジタルカメラ:オリンパス E-1
画像処理ソフト:Adobe Photoshop CS2(高圧縮)

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